レクサスLS600hに搭載されるパワートレインは、最高出力394馬力のV8エンジンに、224馬力のモーターを加えたハイブリッドである。
いわゆるハイブリッドには、いくつかの手段があり、利点欠点がある。
「シリーズ式」と呼ばれるエンジンで電気を作ってそれでモーターを動かす方式。レンジエクステンダーとも呼ばれ、日本車では市販車は販売されていないが、シボレー・ボルトなどが採用している。
「パラレル式」と呼ばれ、一つのモーターでエンジンを補佐、ブレーキ時に発電を行う。発電と充電を同時にできないが、既存エンジンに薄型モーターを搭載することで実現できるので採用例が多い。たとえば、アウディA8ハイブリッドや、BMWのアクティブハイブリッドなどだ。
そして、上記のいいとこどりをした「シリーズパラレル式」。これはトヨタが主に採用する方法で、プリウスやアクア、そしてレクサスLSやGSで採用される方式。遊星ギアという仕組みをつかい、エンジンの動力を発電にも動力にもフレキシブルに使えるのが特徴。もちろん、発電と駆動を同時に行うことも可能だ。
レクサスLSのハイブリッドは、このシリーズパラレル式を採用。モーターには単体で224馬力/30.6kgfmものパワーを発揮する強力なものを搭載している。2段階のリダクションギアを備え、低回転から最大トルクを発揮する電気モーターの魅力を最大限に活用している。
レクサスLS600hのハイブリッドは、プリウスに見られるように燃費志向だけでなく、高効率でありながらもパワフルな加速感、動力性能をキャラクターづけているのだ。モデル名の「600」とはすなわち、5リッターのエンジンを搭載しながらも、6リッタークラスに匹敵するパワーを秘めているという意味をもつのである。
同じくらいの車格のハイブリッド車と比較
燃費(km/L) (JC08モード) |
エンジン 排気量 最高出力 最大トルク |
モーター 最高出力 最大トルク |
統合 最高出力 最大トルク |
車両重量(kg) | 価格(円) | |
Lexus LS600h |
11.6km/L | 4,968cc 394ps 53.0kgfm |
224ps 30.6kgfm |
445ps | 2,230kg | 1,050万円 |
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Lexus LS460(FR) |
8.4km/L | 4,608cc 392ps 51.0kgfm |
- - |
- - |
1,940kg | 830万円 |
BMW ActiveHybrid7 |
14.2km/L | 2,979cc 320ps 45.9kgfm |
54ps 21.4kgfm |
354ps 51.0kgfm |
2,080kg | 1,198万円 |
Audi A8 Hybrid |
13.8km/L | 1,984cc 211ps 35.7kgfm |
54ps 21.4kgfm |
245ps 48.9kgfm |
●kg | 948万円 |
Mercedes-Benz S Hybrid |
11.2km/L | 3,497cc 279ps 35.7kgfm |
20ps 16.3kgfm |
299ps 52.0kgfm |
1,980kg | 1,270万円 |
燃費をみると、一見、アウディA8やBMWアクティブハイブリッド7のほうが良く見えるが、ガソリンエンジンの排気量が小さく、トータルのパワーも100馬力以上劣る。しかも、どちらも2輪駆動(A8はFF、ActiveHybridはFR)なので、エンジン性能で検討するとLSと比較すべきではない。むしろ、格下のGS450hやクラウンとの比較が相応しい。
大型サルーンにふさわしい大排気量と同様のパワーをもちながらも、燃費消費が少ない、エコな満足度も味わえるのは、このレクサスLS600hしか今のところは存在しないのである。